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情報が世界を変える-技術と社会、そして新しい芸術とは(学術俯瞰講義)
2007年度開講

情報が世界を変える-技術と社会、そして新しい芸術とは(学術俯瞰講義)

情報が世界を変えている。20世紀後半に劇的な進化を遂げた情報技術は、いまや社会の隅々、ミクロな生命の世界からグローバルな経済秩序や国際関係までを 激しくつき動かしている。わたしたちは今、情報が爆発し、連結し、融合し、再編される新しい世界の中で立ちすくんでいる。 わたしたちの身のまわりを見まわしてみよう。インターネットや携帯電話からデータベースやゲーム、アニメなどのコンテンツ産業、仮想現実、 iPodのような小型のデジタル媒体の普及、ストリーミング配信や各種の音楽配信技術、ブログや検索システムの発達といった状況のなかで、ネットワーク型 デジタル情報社会は日常の思考や行動の様式をすっかり変えつつある。 情報はまた、わたしたちの感性や想像力の新しい基盤でもある。グローバルに情報化された世界の新しい表現とは何か。ロボット工学やシミュレーションと美術や音楽の表現が結びついていくとき、21世紀の人類はどのような新しい芸術を獲得するのか。 「情報」というテーマは幅広く、奥深い。わたしたちが日々の生活で、あるいはテレビのニュースやネットを通じて接している「情報」は、授業で学ぶ 「情報」よりもはるかに巨大で、つかみどころがないように感じてはいないだろうか。だからこそこの学術俯瞰講義では、「知の構造化と新しい情報秩序」「生 命からロボットまで」「情報とアートのインタフェース」という3つの軸を設けながら、学問分野の壁を超えてわたしたちのまわりで爆発的に広がる新しい知の フィールドにみなさんを招待しよう。

数理の世界-新世紀の数学を探る(学術俯瞰講義)
2007年度開講

数理の世界-新世紀の数学を探る(学術俯瞰講義)

数学は、二千年以上の長い歴史を有し、現在もなお活発な研究がなされ、急速な発展を続けている分野である。数や図形の深い性質、関数や空間の構造が次々に明らかにされており、約350年間懸案だったフェルマー予想の解決や、約100年間未解決だったポアンカレ予想が解かれる等、最近の数学の進展には目を見張るものがある。また、数学は思考の自由さと汎用性の広さが特徴の分野で、諸科学の共通言語として、理学、工学、経済学、社会学など様々な分野に応用されている。たとえば、コンピュータの原理の発見のように、数学は時として社会を根底から変えてしまうような力も秘めている。数学は、人工的に分割できるものではないが、便宜上、代数、幾何、解析、応用数理の4つの領域にわけて考える習慣がある。そして自然や社会の現象を解析する応用面からみた数学をふくめて数理科学と呼んでいる。今回の俯瞰講義では、それぞれの領域において、特徴的なテーマを取り上げ、国際的に活躍する専門家によって広い視野から数学を俯瞰し、皆さんがこれから勉学して行く上での水先案内をしたいと考えている。前期課程で学んでいる数学が、今後学ぶであろう様々な分野の基礎であることを再認識し、皆さんがこれから進むべき道への展望を得るきっかけとなることを期待する。

社会から見たサステナビリティ-平和・開発・人権(学術俯瞰講義)
2007年度開講

社会から見たサステナビリティ-平和・開発・人権(学術俯瞰講義)

人類社会・人類文明のサステナビリティ(持続可能性)について私たちが真剣に考えるようになってから、まだ1世代ほどしか経っていない。1972年、国連 人間環境会議が開かれ、環境汚染の問題を中心に議論がなされ、「かけがえのない地球」が人類共有財産であることが謳われた。同じ年には『成長の限界』が刊 行されている。こうして、無限の発展の可能性は否定され、「持続可能な開発」が大きな課題として浮かび上がり、92年には国連環境開発会議(地球環境サ ミット)が開かれた。 目をマクロな地球からミクロな人間に転じると、開発から取り残された人々は貧困に苦しんでいるだけでなく、生命や尊厳が脅かされる極限的状況に置かれてい る。個々人の開発(発展)を実現する方策として、1994年「人間の安全保障」が提唱された。そして、開発(貧困からの脱却)と平和(紛争や抑圧からの自 由)とが結びつけられ、「持続可能な平和」も大きな課題として認識されるようになった。さらには、重大な人権侵害に対しては「保護する責任」も謳われるよ うになった。今や、サステナビリティの問題は一人ひとりの人間にとっての平和・開発・人権の問題として私たちの前に横たわっているのである。 本講義では、従来は地球環境問題として捉えられてきた「サステナビリティ」を、人類社会にとっての基本的・本質的な将来テーマとして捉え直し、「持続可能な開発」、「持続可能な平和」そして国際人権保障の観点から、「新しい社会と学問との関わり方」について俯瞰する。

学問と人間(学術俯瞰講義)
2006年度開講

学問と人間(学術俯瞰講義)

現在、大学は、第二次大戦後3度目といわれる、大きな変革期に直面しています。第1の変革期は、戦後まもなく、旧制大学から新制大学への移行期であり、第 2のそれは、1968/69年、全世界的なスチューデント・パワーが大学を席巻した時代です。 それぞれの変革期には、大学のありかたが問われるとともに、学問それ自体が鋭く問われてきました。この、第3の変革期も例外ではありません。学問を問うこ とは、学問を担う人間を問うことであり、そもそも学問と人間との関係それ自身を問いかえすことです。学問とは、すぐれて人間による営みであるからです。 人間、文化、社会、歴史を問題とする学問領域は、同時に、みずからの営みそれ自体を問いかえす宿命を帯びています。それは、人間を対象とする学問(科学) は、そもそもいかにして可能なのかを問い、理性とは背反するとされる対象を学問的に考察する意味を問い、真理それ自体の、いわゆる「客観性」と「歴史性」 に対して、あらためて問いかけます。 この講義は、「学術俯瞰講義」シリーズのひとつとして、人文・社会・心理の分野、とりわけ思想・宗教や学問論の分野において広い視野をもった本学関係者が 講師を担当します。この講義によって学生諸君が学問自体の意味を問う営みに触れ、また人文・社会系統の学のありかたに触れられることを望んでいます。

社会の形成-人間はいかに共生してきたか(学術俯瞰講義)
2006年度開講

社会の形成-人間はいかに共生してきたか(学術俯瞰講義)

現代社会は、国際化、情報化、少子高齢化など複雑な課題に直面しています。今後平和で豊かな社会を形成していくためには、こうした課題に取り組み解決していかなくてはなりません。 政治、経済、社会、歴史などを対象とする社会科学は、複雑な社会現象を解明し、課題を解決するための知識を蓄積してきました。そして、今日の先端的研究 は、社会における人間の行動や心理のメカニズムに関する多くの理論を生み出してきました。しかし、他方で、学問領域が細分化し、私たちが直面している現象 をトータルに理解することが難しくなっていることは否めません。 各学問領域の研究が、現実の社会現象を理解し、課題を解決する上でどのように役立つのか。そもそもそれぞれの学問が社会現象をどのように捉え、解明しよう としているのか。またこれまで社会における人間がどのように捉えられ、どのような理念に基づいて社会が形成されてきたのか。 こうした各学問領域の最先端の知識と現実の社会との結びつきを、これから多様な学問領域においてより高度な知識を学ぼうとしている学生諸君に対し、人類がいかに社会を形成し共生してきたかに焦点を当てて、わかりやすく解説するのがこの講義の目的です。

臨床生命情報学(クリニカルバイオインフォマティクス)
2004年度開講

臨床生命情報学(クリニカルバイオインフォマティクス)

この授業は、文部省人材育成ユニット2003年度公開講座をUT-OCW用に再構築したものです。 クリニカルバイオインフォマティクス研究ユニットは、循環器病、糖尿病等生活習慣病を対象とした内科学、適切な臨床研究デザイン及び情報マネジメントを行うための学問領域である生物統計学、集められた臨床情報とゲノム情報から、臨床像とgenotypeの関連性を明確にするための学問領域である統計遺伝学、並びにこれら情報収集、マネジメント、評価を効率的かつ効果的に行うための医療上方角が融合した形で構成される。 本ユニットの核となる東京大学大学院医学系研究科においては、実際の臨床情報及びそれに付随するゲノム情報を収集、蓄積するシステムを有する。このデータを用いた新たなクリニカルインフォメーションシステムの構築を通してプロジェクト方式でユニットの運営を行うとともに、臨床の観点、生物統計学の観点、遺伝学的観点が融合した方法論を平行して習得させ、当該分野における学問領域及び産業界双方における即戦力の人材養成を目的とする。

病理総論
2005年度開講

病理総論

病理学総論講義においては、病気(疾患)の概念を原因論から出発して系統的に説明する。細胞レベル、組織レベル、臓器レベル、そして全身性の疾患という具 合に理解してほしい。さらに後半の腫瘍論においては、遺伝子レベルの講義を行う。解剖学、生化学・分子生物学、免疫学、細菌学などの基礎知識が幅広く身に ついていないと病理学の講義を理解するのは難しい。
講義一覧
第2回
代謝障害・アミロイドーシス | 大橋 健一
第3回
損傷修復・再生 | 宮澤 恵二
第3回
分子病理学序論 | 宮園 浩平
第4回
循環障害 | 仁木 利郎
第4回
動脈硬化・糖尿病 | 大橋 健一
第5回
炎症 | 加藤 光保
第6回
感染症 | 加藤 光保
第6回
免疫 | 宮園 浩平
第9回
がんと間質 | 仁木 利郎
第9回
がんの疫学・発がん | 宮園 浩平
第10回
がん遺伝子 | 宮園 浩平
第11回
がん抑制遺伝子 | 宮園 浩平
第12回
がんの生物学 | 宮園 浩平
第12回
がん転移 | 広橋 説雄
第13回
がんの分子診断 | 油谷 浩幸

行政学(2003年度)
2003年度開講

行政学(2003年度)

行政学では、現実の行政現象はどのようなものか?、ある事象を行政学の観点から述べるとどのように論じることができるか?ということを主に学んでいきます。加えて、講義においては、最近の地方分権改革における「三位一体の改革」や公務員制度改革、災害を含む危機管理の例を取り上げて解説していきます。

物質の科学 ‐その起源から応用まで(学術俯瞰講義)
2005年度開講

物質の科学 ‐その起源から応用まで(学術俯瞰講義)

現代の科学・技術は、素粒子から生命体に至るまで、あるいは個人から社会全体に至るまで、さまざまな階層における基礎的な現象、応用に関わる事柄を対象にしている。そして、対象とすべき現象・事柄は、科学・技術の発展にともなって増加の一途をたどっている。 この講義では、われわれの身の回りの全ての現象・事柄の根源にある「物質」をキーワードとして、物質の起源を探る学問分野、物質の性質を明らかにする学問 分野、物質を工学的に利用する学問分野を繋いで、「物質の科学」を貫く学術の流れを解説する。この講義によって、学生が現代の「物質の科学」の全体像を掴 み、さらには、前期課程で学んでいる授業科目の重要性や位置付けを再考し、将来の勉学に向けて展望を得ることができればよいと考えている。