社会から見たサステナビリティ-平和・開発・人権(学術俯瞰講義)
2007年度開講
人類社会・人類文明のサステナビリティ(持続可能性)について私たちが真剣に考えるようになってから、まだ1世代ほどしか経っていない。1972年、国連 人間環境会議が開かれ、環境汚染の問題を中心に議論がなされ、「かけがえのない地球」が人類共有財産であることが謳われた。同じ年には『成長の限界』が刊 行されている。こうして、無限の発展の可能性は否定され、「持続可能な開発」が大きな課題として浮かび上がり、92年には国連環境開発会議(地球環境サ ミット)が開かれた。 目をマクロな地球からミクロな人間に転じると、開発から取り残された人々は貧困に苦しんでいるだけでなく、生命や尊厳が脅かされる極限的状況に置かれてい る。個々人の開発(発展)を実現する方策として、1994年「人間の安全保障」が提唱された。そして、開発(貧困からの脱却)と平和(紛争や抑圧からの自 由)とが結びつけられ、「持続可能な平和」も大きな課題として認識されるようになった。さらには、重大な人権侵害に対しては「保護する責任」も謳われるよ うになった。今や、サステナビリティの問題は一人ひとりの人間にとっての平和・開発・人権の問題として私たちの前に横たわっているのである。 本講義では、従来は地球環境問題として捉えられてきた「サステナビリティ」を、人類社会にとっての基本的・本質的な将来テーマとして捉え直し、「持続可能な開発」、「持続可能な平和」そして国際人権保障の観点から、「新しい社会と学問との関わり方」について俯瞰する。