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大学教育開発論/東京大学フューチャーファカルティプログラム(東大FFP)
2020年度開講

大学教育開発論/東京大学フューチャーファカルティプログラム(東大FFP)

授業の概要  現在、大学教員としてのキャリアを進むにあたっては、研究者としてだけでなく、教育者としての資質も問われています。本授業は、東京大学フューチャーファカルティプログラムとして、学生が主体的に学ぶために必要な学生のモチベーションの高め方、授業デザインやシラバス、評価方法などを学びます。また、アクティブラーニングの手法を取り入れたグループワークを多く経験し、模擬授業の実践も行います。多様な研究領域から集う受講者相互の学び合いは、新しい視点の獲得につながり、また、プログラムの修了後も継続するネットワークを培います。本授業で学んだことは「目的・目標を明確にし、達成するためのデザイン」や「伝えたいことが確かに相手に伝わるコミュニケーション」を学ぶという点で研究活動の向上にも活きることでしょう。 目的と目標 (目的)  本授業では、未来の大学教員として、責務としての「教育」の重要性を認識し、学生の立場にたった教育の設計と実行を可能にすることを目的とします。そのために、授業実施に向けた実践的な知識やスキルを多様な専門領域の受講生とともに実際に体験し、互いに学び合いながら獲得し、さらに、研究だけでなく教育についても探究し続ける姿勢を身につけます。 (目標) ・ 高等教育の現状の概要について説明できる ・ デリバリースキルの観点を知り、自分のスキルの向上につなげる ・ グループワークに積極的に参加し、当事者およびファシリテーターとしてのコミュニケーション力をつける ・ 学生が主体的に学べる授業のデザインができる ・ 基礎知識をふまえた評価をデザインできる ・ 学んだ知識を模擬授業として活用し実施できる ・ キャリアパスについて考え、日頃の活動や今後の展望について整理できる (なお、本講義のシラバスを、第1回の講義資料として公開しています。第1回の講義ページの「講義資料2」をご覧ください。)

30年後の世界へ ―「世界」と「人間」の未来を共に考える(学術フロンティア講義)
2020年度開講

30年後の世界へ ―「世界」と「人間」の未来を共に考える(学術フロンティア講義)

「グローバリゼーションは新たな段階を迎えつつある。人・モノ・情報のボーダーレスな移動によって生起したさまざまなコンフリクトは、人類が近代に達成したさまざまな価値や制度に揺さぶりをかけている。これに拍車をかけるのは、第四次産業革命とも言われる新たなテクノロジー社会の到来であり、気候変動を核心とする人類と地球生態系のサスティナビリティの危機であり、医療・生命技術の発展がもたらした生命のボーダーレス化である。  いったい、わたしたちがいま生き、これから向かおうとしている世界はどのようなすがたをしているのだろうか。これまでそうだと思っていた世界の分節が機能不全を呈しつつある時、わたしたちはもう一度、わたしたちが生きる「世界」そのものを問い直し、新たな「世界」像を構築するための想像力を開放する必要がある。そのことは同時に、「人間」に対する再定義をも迫っている。現在の人間は、自然とのつながりだけでなく、機械や情報ネットワークなどの人工物とのつながりのなかではじめて人間たりえている。人種、民族、ジェンダー、階級、個人、健康、生死、環境、技術、制度などなど、人間を構成する諸条件を現代的状況のなかで問い直すことは、新しい世界像を構築することと切り離すことはできないはずだ。」(「世界人間学宣言」座談会アジェンダより)  これは、駒場の教員たちが集まって2019年12月9日に開催された「世界人間学宣言」座談会の開催趣旨文の一部です。ここ東京大学駒場キャンパスは、リベラルアーツを旗印として、学問分野の垣根を越えながら広く「問う」ことにおいて、智慧への愛好(philosophia)を共にする場です。人類史的な、否、地球史的な大きな転換点にあるいま、「世界」と「人間」を問い直すことは、わたしたち人類の智慧によって希望を切り拓くために不可欠な課題です。これは同時に、既存の学問の前提を取り外すことをわたしたちに要求しています。駒場はこうした要請に応えうる、世界にも稀な場であると言えるでしょう。なぜなら、そこには東京大学に入学したばかりの前期課程生がすべて集まり、三千人を超える学生の一人ひとりが、それぞれに相応しい専門の学問を見出す前に、アカデミックに生きるための技法(アート)として、「問う」姿勢を身につけることを約束されているからです。問うことの自由を手に、渾沌とした世界に働きかけ、新たな学問を切り拓くこと、それが駒場の教養教育の役割であり、駒場に課せられた時代の要請なのです。言い換えれば、わたしたちの駒場キャンパスは前期課程のみなさんと共にあることによって、学問のフロンティアに立ち続けています。フロンティアならではの喜びを分かち合いながら、希望の未来像についてみなで共に考えること、それが駒場における研究教育の意義にほかなりません。  この授業では、それぞれの研究分野の第一線で活躍している研究者が順番に登壇しながら、わたしたちの未来を考えるための「問い」をひらきます。テーマは「30年後」ですので、そこに明確な答えは用意されていません。しかし、答えのない「問い」を問う姿勢こそが、この時代を覆うさまざまなチャレンジに応じるためのパスポートにほかならず、駒場で学ぶわたしたちの特権であると言えます。  この授業を主催するのは、東京大学東アジア藝文書院(East Asian Academy for New Liberal Arts, EAA)です。EAAは「東アジア発のリベラルアーツ」を標榜し、東アジアという土壌の上に新しい研究教育のプラットフォームを構築し、今後の世界における新しい大学のあり方を提示することを目指しています。  共に未来を考えたい学生さんたちの参加を大いに歓迎いたします。

「つながり」から読み解く人と世界(朝日講座「知の調和―世界をみつめる 未来を創る」2019年度講義)
2019年度開講

「つながり」から読み解く人と世界(朝日講座「知の調和―世界をみつめる 未来を創る」2019年度講義)

私たちは、様々な「つながり」の中で生きています。生物としてのヒトは、生命維持のために呼吸や栄養補給などを通じた外部世界との「つながり」が不可欠です。人体の内部でも各種の器官が複雑につながり合って活動しています。一方、そのような人は、決して1人では生きていけない存在です。「個」としての自分は、他者となんらかの形でつながっています。家族・共同体・社会などは、いずれも人と人との間の多様な「つながり」の産物にほかなりません。 また私たちは、動物や植物、自然環境、さらには無生物であるモノとの間にも多様な「つながり」を持っています。グローバル化やネット社会の出現は、人をめぐるそうした従来の「つながり」のあり方を大きく変えるものです。あるいは、これまで直接つながっていなかったもの同士が新たに結びつくことで、これまでになかった新しい意味や可能性が生み出されてもきています。人や世界をめぐる様々な問題を「つながり」という視点を強く意識しながら読み解くと、一体何が見えてくるでしょうか。本年度の朝日講座では、人をめぐる多様な「つながり」の諸相を多角的に捉えなおしてみたいと思います。

情報数理科学VII
2019年度開講

情報数理科学VII

機械学習手法の定式化を前半で学び、それらの基礎となるパラメータ推定理論を後半で扱う。 演習では講義で扱ったアルゴリズムの実践を行う。 Ⅰ.教師あり学習   1.最小二乗法   2.過学習と正則化   3.交差検証   4.正則化付き経験リスク最小化   5.カーネル法 Ⅱ.教師なし学習   1.ハードクラスタリング問題   2.ソフトクラスタリング問題   3.次元削減問題 Ⅲ.ベイズ推論   1.各問題の確率論的定式化   2.推定理論 Ⅳ.凸最適化   1.凸関数   2.双対問題   3.最適化法

新しい医療が社会に届くまで ~データサイエンスが支える健康社会~(学術俯瞰講義)
2019年度開講

新しい医療が社会に届くまで ~データサイエンスが支える健康社会~(学術俯瞰講義)

コーディネータ:松山 裕 ナビゲータ:大庭 幸治 日々、進歩を続ける医療は、人を対象とした研究の成果を通してその技術が確立し、我々のもとへと届けられています。一言で研究と言っても、ゲノム情報を用いた研究から新薬開発のために実施される治験、更には、市販後の最適な治療法の評価、開発時には検出が困難な副作用に関する薬剤疫学研究、医療経済性の評価など、その種類は非常に多様なものです。そのため、医学のみならず、薬学、生物学、工学、経済学、統計学など様々な学問の専門家が関わって実施されています。一方で、全ての研究で共通していることは、それぞれで必要なデータを計画的に収集し、解析し、データに基づいた意思決定を行っているということです。近年、データサイエンスという新しい科学研究の方法論が注目を集めていますが、医療という分野は比較的古くからデータサイエンスを実践してきたとも言えます。本講義シリーズでは、薬や治療が社会に届くまでの全体像を俯瞰し、実際に研究に関わっている方からの話を伺うことで、健康社会を支える様々な学問の貢献を考えていきます。 【AMED生物統計家育成支援事業】 【2019年度SセメスターGLP指定科目 http://www.glp.u-tokyo.ac.jp/gefil/courses/】

ワンヘルスの概念で捉える健全な社会(学術俯瞰講義)
2018年度開講

ワンヘルスの概念で捉える健全な社会(学術俯瞰講義)

コーディネータ:芳賀 猛 ナビゲータ:梶谷 真司 ワンヘルス(One Health)は、人、動物、環境は相互に密接な関係があり、それらを総合的に良い状態にすることが真の健康である、という概念です。グローバル化が加速し、世界的な人口増加の中、環境・食糧・感染症といった、人類共通の課題がクローズアップされてきます。このような課題の克服には、世界は一つ、健康も一つ ”One World, One Health” の観点から、地球規模で、分野横断的なアプローチが求められます。この講義では、広い分野から専門の先生を招き、ワンヘルスの概念を念頭に、健全で持続可能な社会を構築していくには、これからどのようなことが求められるか、考えていきます。

「居場所」の未来(朝日講座「知の調和―世界をみつめる 未来を創る」2018年度講義)
2018年度開講

「居場所」の未来(朝日講座「知の調和―世界をみつめる 未来を創る」2018年度講義)

 安心して過ごすことのできる居場所があることは、生きるための基本的な条件です。  一面で、現代社会では、かつてなく居場所を見つけることが容易になったと言えるでしょう。室内はますます快適になり、街には居心地の良さそうな場所が増え、サイバー空間の使い勝手も劇的に改善されてきました。その気になればいつでもどこでも居場所を手にすることができるかのような楽観的な見方すら、珍しいものではありません。  その一方で、居場所の欠如や喪失の感覚が深まり、これを取り戻すための努力が静かに広がりつつあるのも現代の特徴ではないでしょうか。もっとも、居場所への渇望ないしは衝動は、それをつくったり維持したりすることを妨げるものへの無関心や、ときには敵意にまでつながるのかもしれません。  本年度の朝日講座では、こうした矛盾に注意を払いつつ、見えるものと見えないもの、そして、身近なコミュニティと宇宙のスケールの間を行き来しながら、私たちの居場所とその未来について考えたいと思います。

デジタル・ヒューマニティーズ ― 変貌する学問の地平 ― (学術俯瞰講義)
2018年度開講

デジタル・ヒューマニティーズ ― 変貌する学問の地平 ― (学術俯瞰講義)

コーディネータ:下田 正弘 ナビゲータ:齋藤 希史 20世紀後半より急速に進展した情報通信技術革新は、知の保存、分析、交換という学問成立の根底をなす方法を変革するとともに、各国の大学・図書館・博物館等に個別に所蔵された知を、インターネットをとおした世界的地平に開き出しました。過去から継承された厖大な知を、この新地平にもたらし、次世代に向けた知創成の基盤とするため、世界の大学は、人文・社会・芸術の分野を中心に、デジタル・ヒューマニティーズ(人文情報学)という新分野を創成し、大きく変わりはじめています。文字・画像資料のアーカイブ・分析・発信・三次元モデル化、学術情報の整理・分析・構造化、マルチメディア・ヴァーチャルリアリティ・人工知能といった問題群を対象にし、領域の壁を超えた方法論的共有地として新たな大学の可能性を開きつつある最先端の研究動向を、それぞれの専門研究者がわかりやすく講義をいたします。

物質のはじまりとはたらき ―フェムト、ナノ、エクサの世界 (学術俯瞰講義)
2017年度開講

物質のはじまりとはたらき ―フェムト、ナノ、エクサの世界 (学術俯瞰講義)

コーディネータ:藤森 淳 ナビゲータ:堀田 知佐 我々の世界が物質でできているのは周知の事実であるが、では、なぜどのようにして物質はできたのかという疑問を持ち追求していくと、物質の最小単位や宇宙のはじまりを探求する果てしない旅に出ることになる。そこには、とてつもなく高いエネルギーや短い時間の現象が支配する、極微から宇宙空間まで広がる我々の直観を越えたダイナミックな世界がある。一方、我々の周りで見られる様々な物質の多様性や先端デバイスの機能は、 巨視的な数の原子や電子が集まって個々の粒子にはない新たなはたらきを生み出す創発現象である。 本講義では、このような広く限りない魅力にあふれた物質科学を、物理、化学、電子工学の第一人者が、さらに広い視野からわかりやすく解き明かす。 理科I類に限らない広い分野の理系学生に加え、多くの文系学生の聴講を期待する。