「居場所」の未来(朝日講座「知の調和―世界をみつめる 未来を創る」2018年度講義)
The Future of Living Places (The Asahi Lectures "The Harmony of Knowledge" 2018)

「居場所」の未来(朝日講座「知の調和―世界をみつめる 未来を創る」2018年度講義)
The Future of Living Places (The Asahi Lectures "The Harmony of Knowledge" 2018)
 安心して過ごすことのできる居場所があることは、生きるための基本的な条件です。  一面で、現代社会では、かつてなく居場所を見つけることが容易になったと言えるでしょう。室内はますます快適になり、街には居心地の良さそうな場所が増え、サイバー空間の使い勝手も劇的に改善されてきました。その気になればいつでもどこでも居場所を手にすることができるかのような楽観的な見方すら、珍しいものではありません。  その一方で、居場所の欠如や喪失の感覚が深まり、これを取り戻すための努力が静かに広がりつつあるのも現代の特徴ではないでしょうか。もっとも、居場所への渇望ないしは衝動は、それをつくったり維持したりすることを妨げるものへの無関心や、ときには敵意にまでつながるのかもしれません。  本年度の朝日講座では、こうした矛盾に注意を払いつつ、見えるものと見えないもの、そして、身近なコミュニティと宇宙のスケールの間を行き来しながら、私たちの居場所とその未来について考えたいと思います。