2025/01/08
ここ数年でAIは私たちの生活に非常に身近なものになってきました。これにより世の中が大きく変わってきており、みなさんの日常生活の中でもその変化を感じる場面は多くあることでしょう。そんなAIに関連して、
「仕事を奪われる」
「いつか人間を超える」
といったネガティブな議論を耳にする機会も増え、そのような脅威に怯えることもあるでしょう。しかしながら、実は私たち人間がAIに対応する力を身につけるべき時代でもあると須藤先生はおっしゃっています。
今回ご紹介する「ビッグデータ時代の人工知能学と情報社会のあり方(学術俯瞰講義)第8回 ビッグデータ・AIの社会展開と課題――第4次産業革命を超えて」(2016年度開講)では、AIがこれからどのような軌跡をたどっていくのか、そして私たちはそれとどう付き合っていくかについて、須藤修先生が詳しく解説されています。
UTokyo Online Education ビッグデータ時代の人工知能学と情報社会のあり方(学術俯瞰講義) Copyright 2016, 須藤 修
この講義自体は今から数年前のものであり、AIは間違いなく当時よりも着実に進化を遂げています。しかしながら、AIの発展自体のみならず、私たちがそれとどう付き合っていくかを考える上では非常に意義のある講義となっていますので、是非最後まで記事をご覧ください。
ビッグデータとAI
普段の我々は、AIからさまざまなかたちで答え・結果をもらいます。では、それらの答え・結果は何をもとに得られるのでしょうか。答えはズバリ、ビッグデータです。ビッグデータとは膨大な量のデータの蓄積であり、あまりに量が多いため人間の力だけではそれらを全て処理することは不可能でした。しかしながらAIは、それらのデータを処理することを非常に得意としており、これが我々の世界を大きく変えることになるのですが、具体的には何が変化したでしょうか。
AIがもたらした大きな変化
分かることが増えた
あまりにも直球で、頭に「?」が思い浮かんだ人も多いでしょう。しかしながら、この当たり前の結果が我々のAIに対する対応力の必要性を高める最大の要因となっています。このことを考えるにあたって、一つの具体例をご紹介します。
保険会社とAIの例から
UTokyo Online Education ビッグデータ時代の人工知能学と情報社会のあり方(学術俯瞰講義) Copyright 2016, 須藤 修
保険会社の自動車保険にまつわる話です。今日の車には、運転手の運転の特性を全てデータとして内蔵しており、そのため事故の可能性の高低をAIのデータ処理により把握することができます。これにより、保険会社はきちんとしたデータを元に顧客それぞれに合った保険を勧めることができます。
元来、保険というのは事故を起こすかどうか分からないという不確実性を前提とした商品です。その不確実性の上に商売が成り立っていたのですが、正確な分析が可能になってしまったため、かえって保険会社の売上が下がってしまうことがあると須藤先生は指摘しています。そこで、保険会社は生命保険と損保保険の垣根を撤廃した新たな金融商品を作ることで、売上の減少に対応するという現象が起きるのです。
AIへの私たちの対応力の必要性
ご紹介した保険会社の例のように、AIの進展により今までわからなかったことがわかるようになったことで、私たちに変化を迫るという場面が増えてきています。先生は、今後もそういった流れが増え続けるであろうとおっしゃっています。つまり、AIが勢いを増す時代において必要なことは、その脅威に怯えることではなく、AIがもたらす力に対応する能力なのです。
AIと私たちのこれから―須藤先生のメッセージー
UTokyo Online Education ビッグデータ時代の人工知能学と情報社会のあり方(学術俯瞰講義) Copyright 2016, 須藤 修
先生は、いま安泰とされている職種がAIに脅かされる可能性は大いにあるとおっしゃっています。人間に残される仕事はクリエイティブなものや、マネージメント、ホスピタリティなど、アイディアの創出や、人間相互間の高度なコミュニケーション能力を必要とするものであるという意見があります。しかしながら、先生はこの意見にも懐疑的であり、希望的推測に過ぎないのではないかという厳しいコメントもしています。その一方で、AIが分野の垣根を超越するきっかけとなり、既存のイメージを変えるような非常に柔軟な時代がやってきたというメッセージも残しています。
まとめ
今回ご紹介した講義は、「これからの時代は、AIに圧倒されるという時代というよりもむしろ、AIに対応する我々の力が試されているのではないか」そんなことを考えさせられる内容となっています。さらに詳しいことが気になる方はぜひ講義動画をチェックしてみてください。
今日紹介した講義:2016年度開講 ビッグデータ時代の人工知能学と情報社会のあり方(学術俯瞰講義) 第8回 ビッグデータ・AIの社会展開と課題――第4次産業革命を超えて 須藤 修先生
●他の講義紹介記事はこちらから読むことができます。
〈文/悪七一朗(東京大学学生サポーター)>
「仕事を奪われる」
「いつか人間を超える」
といったネガティブな議論を耳にする機会も増え、そのような脅威に怯えることもあるでしょう。しかしながら、実は私たち人間がAIに対応する力を身につけるべき時代でもあると須藤先生はおっしゃっています。
今回ご紹介する「ビッグデータ時代の人工知能学と情報社会のあり方(学術俯瞰講義)第8回 ビッグデータ・AIの社会展開と課題――第4次産業革命を超えて」(2016年度開講)では、AIがこれからどのような軌跡をたどっていくのか、そして私たちはそれとどう付き合っていくかについて、須藤修先生が詳しく解説されています。
UTokyo Online Education ビッグデータ時代の人工知能学と情報社会のあり方(学術俯瞰講義) Copyright 2016, 須藤 修
この講義自体は今から数年前のものであり、AIは間違いなく当時よりも着実に進化を遂げています。しかしながら、AIの発展自体のみならず、私たちがそれとどう付き合っていくかを考える上では非常に意義のある講義となっていますので、是非最後まで記事をご覧ください。
ビッグデータとAI
普段の我々は、AIからさまざまなかたちで答え・結果をもらいます。では、それらの答え・結果は何をもとに得られるのでしょうか。答えはズバリ、ビッグデータです。ビッグデータとは膨大な量のデータの蓄積であり、あまりに量が多いため人間の力だけではそれらを全て処理することは不可能でした。しかしながらAIは、それらのデータを処理することを非常に得意としており、これが我々の世界を大きく変えることになるのですが、具体的には何が変化したでしょうか。
AIがもたらした大きな変化
分かることが増えた
あまりにも直球で、頭に「?」が思い浮かんだ人も多いでしょう。しかしながら、この当たり前の結果が我々のAIに対する対応力の必要性を高める最大の要因となっています。このことを考えるにあたって、一つの具体例をご紹介します。
保険会社とAIの例から
UTokyo Online Education ビッグデータ時代の人工知能学と情報社会のあり方(学術俯瞰講義) Copyright 2016, 須藤 修
保険会社の自動車保険にまつわる話です。今日の車には、運転手の運転の特性を全てデータとして内蔵しており、そのため事故の可能性の高低をAIのデータ処理により把握することができます。これにより、保険会社はきちんとしたデータを元に顧客それぞれに合った保険を勧めることができます。
元来、保険というのは事故を起こすかどうか分からないという不確実性を前提とした商品です。その不確実性の上に商売が成り立っていたのですが、正確な分析が可能になってしまったため、かえって保険会社の売上が下がってしまうことがあると須藤先生は指摘しています。そこで、保険会社は生命保険と損保保険の垣根を撤廃した新たな金融商品を作ることで、売上の減少に対応するという現象が起きるのです。
AIへの私たちの対応力の必要性
ご紹介した保険会社の例のように、AIの進展により今までわからなかったことがわかるようになったことで、私たちに変化を迫るという場面が増えてきています。先生は、今後もそういった流れが増え続けるであろうとおっしゃっています。つまり、AIが勢いを増す時代において必要なことは、その脅威に怯えることではなく、AIがもたらす力に対応する能力なのです。
AIと私たちのこれから―須藤先生のメッセージー
UTokyo Online Education ビッグデータ時代の人工知能学と情報社会のあり方(学術俯瞰講義) Copyright 2016, 須藤 修
先生は、いま安泰とされている職種がAIに脅かされる可能性は大いにあるとおっしゃっています。人間に残される仕事はクリエイティブなものや、マネージメント、ホスピタリティなど、アイディアの創出や、人間相互間の高度なコミュニケーション能力を必要とするものであるという意見があります。しかしながら、先生はこの意見にも懐疑的であり、希望的推測に過ぎないのではないかという厳しいコメントもしています。その一方で、AIが分野の垣根を超越するきっかけとなり、既存のイメージを変えるような非常に柔軟な時代がやってきたというメッセージも残しています。
まとめ
今回ご紹介した講義は、「これからの時代は、AIに圧倒されるという時代というよりもむしろ、AIに対応する我々の力が試されているのではないか」そんなことを考えさせられる内容となっています。さらに詳しいことが気になる方はぜひ講義動画をチェックしてみてください。
今日紹介した講義:2016年度開講 ビッグデータ時代の人工知能学と情報社会のあり方(学術俯瞰講義) 第8回 ビッグデータ・AIの社会展開と課題――第4次産業革命を超えて 須藤 修先生
●他の講義紹介記事はこちらから読むことができます。
〈文/悪七一朗(東京大学学生サポーター)>