代数と幾何
2005年度開講

代数と幾何

線形代数は,微積分とならんで,現代の数学を支える大きな柱である.数学のどの分野にも,線形代数的なものが現れる.代数では加群や表現,幾何では接空間 や微分形式,解析では線形微分方程式や関数空間など,数え上げていけばきりがないほどである.また,線形代数それ自体は,数学のさらに進んだ分野に比べれ ば簡単であり,それらの基礎になっている. この講義では,ふつうの入門とは異なり,ベクトルや行列,行列式といった,線形代数の基本的対象にはある程度慣れている学生を対象に,ジョルダン標準形な どの進んだ話題や,双対空間,商空間,テンソル積などの抽象的な構成に重点をおいて解説する.より具体的には,数学を専攻として勉強しはじめた学生を想定 している. そのような学生にとっての数学の難しさは,まずはその内容自体にあるだろう.しかしそのほかに,数学独特の考え方や習慣なども,その一因と考えられる.数学の学習の中で, 数学特有のことばの習得が占める部分は大きい.この講義では,数学的な内容だけでなく, このような,ふつうは教科書に書かれないような点についても説明した. 現代の数学では,抽象的,公理的方法が主流となっている.一方,数学を真に理解するには,数学的な対象に実体感をもてるようになることが欠かせない.そのため,この講義では,基本的な例をなるべく多数紹介する.

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