こんにちは、UTokyo OCWスタッフです。
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、仕事、生活、娯楽、いろいろな面で我慢をしなければならない日々が続いていますね。
なかなか終わりの見えない毎日で、気が滅入ることもありますがUTokyo OCWが少しでも皆さんのお役に立てたらと思っています。
今回から数回にわたり、過去の学術俯瞰講義からスタッフおすすめの講義をシリーズごとに取り上げてみたいと思います。
初回の今回は、せっかくなので学術俯瞰講義そのものの紹介もしたいと思います。
学術俯瞰講義は学部1、2年生向けに開講されている講義で、専門分野を深く学ぶのではなく学問分野の全体像であったり、分野ごとのつながりを広い視野で見てもらいたいという目的で開講されている講義です。そのため、多分野の先生方が週ごとにご登壇くださったり、よりわかりやすい言葉で講義をしてくださったりといろいろな工夫がなされているのが特徴です。
大学の講義というとなんだか難しそう…とか、とっつきにくそう…と敬遠されがちですが、学術俯瞰講義はまさにその道案内をしてくれるような講義になっています。
ですので、興味のある分野の講義だけでなく、時間が余ったからちょっと覗いてみようかな…くらいの気持ちでいろいろな講義を視聴していただけたらと思います!
まず最初におすすめしたい学術俯瞰講義は…
2017年冬に開講された『物質のはじまりとはたらきフェムト、ナノ、エクサの世界』です。
http://ocw.u-tokyo.ac.jp/course_11402/
物質科学…ときくとなんだか難しそうな理論がたくさんありそうだな、よくわからないグラフがいっぱいでてくるんだろうな…と根っからの文系のスタッフは思っていたのですが、こちらの講義では宇宙ってなんだろう?ブラックホールって何だろう?というような誰でも知っている話題が入口となっているため、物理学の知識を身近な事象と結びつけながら深めていくことができます。また、講義タイトルにもあるように、宇宙から素粒子まで、大きいものから小さいものまで扱う講義なので、様々な角度から物質科学について学べることも大きな特徴です。
OCWでは現在4名の先生方の講義を公開しています。
理学部の須藤 靖先生は「我々の宇宙からマルチバースへ」と題してご講義いただきました。
http://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_1598/
人ははるか昔から宇宙について興味を持ち、様々な方法で観測をするとともに、宇宙がどのように作られたのか、宇宙がどのような構造をしているのか考えてきました。
実際に見ることがかなわないためわからないこともまだまだある宇宙について、物理法則から考えてみよう、というのが須藤先生の講義です。
宇宙論に関する説明をされるとともに、宇宙に果てはあるのか、私たちの住む世界とは…?というマルチバースの考え方もご紹介されており、とても興味深いです。
宇宙に関する講義として、理学部の浅井 祥仁先生にも「大きな宇宙を生み出した小さな素粒子とそれに作用する力」と題してご講義いただきました。
http://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_1601/
浅井先生は素粒子がご専門で、須藤先生の宇宙という大きな視点からは一転して小さな素粒子から宇宙という広い世界を解明されようとしています。
近年発見されたヒッグス粒子などの素粒子研究の最前線でご活躍されている浅井先生ならではのお話がたっぷり3コマ分公開されています。
残るお二人のご講義は、研究対象が宇宙からぐっと私たちの身近なものになっていきます。
工学部の田中 雅明先生は「物質科学の基礎と工学」と題してご講義いただきました。
http://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_1604/
田中先生は物質科学の基礎的な部分を丁寧にご紹介くださっていて、私たちの身の回りにある物質の性質やその機能がどのように利用されているのかわかりやすく解説されています。また、これからの展望や研究の最前線のお話も非常に魅力的です。
物性研究所の𠮷信 淳先生は、「現代社会における表面化学」と題してご講義いただきました。
http://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_1608/
「神は固体を創造し、悪魔は表面を創作した」(第11回)とは…?とどきどきしながら講義を聞かせていただいたのですが、そもそもこれまで表面化学という分野を知らなかったので、「表面」を研究することがなぜ重要なのか、という部分から大変勉強になりました!
スタッフは須藤先生、浅井先生の講義を聞くことで、これまで具体的に何がすごいのかわかっていなかったアインシュタインのすごさをしみじみと感じました。
数年前に観測に成功したブラックホールの理論にもなっている一般相対性理論といった理論の基礎を築いたアインシュタイン、そしてアインシュタインの理論を実際に観測することで研究を進展させていく現在の科学者たちの情熱も感じられる講義だと思います。
また、私たちにとって必需品となっているパソコンやスマートフォンといった日常的に使用している機器の中に使用されている「半導体」という存在の名前はしっていても具体的にどんな役割があるんだろう…?ということについても、田中先生や吉信先生のご講義で知ることができました。
次回のだいふくちゃん通信では、スタッフおすすめの学術俯瞰講義その2をお届け予定です!