5月のおすすめ講義🍀
2020/05/31

こんにちは、UTokyoOCWスタッフです。

4月の末頃、アメリカ国防省が「UFO」と思われる映像を発表しました(https://www.cnn.co.jp/fringe/35153055.html)。

このニュースは、私たちの意識を再び、宇宙をめぐる様々な可能性やロマンに向かわせることになりました。宇宙はそうした憧憬の対象でありながら、一方で私たちに近くて遠い、未だ謎多き研究の対象でもあり続けています。


そこで今回は宇宙について、観測を中心とする天文学からというより、宇宙の無限の可能性について言及するために常にその最果てを見つめる宇宙物理学という学問分野から、最新の知見を紹介します。

家泰弘先生「総論、物質の科学史、現代社会と物質」

(2015年度学術俯瞰講義「宇宙・物質・社会—物質のなりたちから応用まで」より、第1回)
https://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_1347/

宇宙の在り方について考える前に、まずは私たちの側から、つまり人類が、歴史上世界を構成する物質をどのように理解してきたかについて考えみましょう。空を見上げたその先にある宇宙と人類の学問は、人類のはじまりから互いに手を取り合ってきました。しかし、近代以降になって「果たして私たちは宇宙の中で特別な存在なのか?」という世界観のコペルニクス的転回が顕著となってきたことは、現代の研究が拠って立つ視点を理解するために、おさえておく必要があります。

村山斉先生「暗黒物質と星・銀河の誕生、反物質の消滅、暗黒エネルギー」

(2015年度学術俯瞰講義「宇宙・物質・社会—物質のなりたちから応用まで」より、第3回)
https://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_1349/

宇宙の大部分を占めると言われながらも、現在まで観測不可能とされている暗黒物質(ダークマター)から宇宙の謎を紐解く研究は、今まさに日進月歩の只中にあります。去年も理化学研究所や京都大学が、暗黒物質観測のための新手法を発表しました(https://www.riken.jp/press/2019/20191114_1/index.html
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2019/190914_1.html)。

本講義では、この暗黒物質について、「なぜそれが研究されるか?」「暗黒物質は宇宙のどんな謎を明らかにしてくれるのか?」という理解の第一歩を提示しています。

須藤靖先生「我々の宇宙の外の世界」

(2017年度学術俯瞰講義「物質のはじまりとはたらき—フェムト、ナノ、エクサの世界」より、第3回)
https://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_1600/

最後にご紹介するのは、宇宙や物理科学というより、ある種哲学的な宇宙認識と私たちの存在に関する講義です。

本講義に通底する疑問は、「すべての事象には原因が存在しているにもかかわらず、宇宙の中での私たちの存在を奇跡的偶然で片づけてしまってもよいのか?」と設定されます。この疑問に答えるべく、須藤先生は実証可能な科学としての枠組みに縛られず、量子力学の知見から「我々の偶然性」を打破する一つの解答として、マルチバース(multiverse)という世界認識を挙げています。