数学を創る-数学者達の挑戦(学術俯瞰講義)
2009年度開講

数学を創る-数学者達の挑戦(学術俯瞰講義)

数学は「自然現象の背後にある数理現象を見ること」である、と故・小平邦彦教授(日本人初のフィールズ賞受賞者)は繰り返し述べていた。数学の本質を言い表しているこの言葉の意味を今一度考え直した上で、二つのことを付け加えたい。まず、数理現象は自然現象ばかりではなく、社会や技術という現代のシステムの背後にも隠れている。自然や社会から数理現象を見出し、これを数学という言葉を使って表現したものが数理モデルであるが、数学そのものから新しい数理モデルが作られることもある。数学とは、まずこのような観測から第一歩が始められる。また、現象を観測しただけでは科学にはならない。石は磨かなければ玉(価値のあるもの)にはならない、これがもう一つの大事な観点である。発見された現象を分析し、あるいは統合し、必要ならば新しい数学の道具を開発することによって、数理モデルは完成度を増し、新しい数学となる。 この講義では、数学者達が何を考え、どのように試行錯誤しながら理論を創り出してきたのか、数学研究の営みを紹介する。みなさんが高校や大学の数学の講義で教わっている数学は、完成したものであり、数学者達を夢中にさせる醍醐味を味わうことは難しいだろう。ここでは、そんなエキサイティングな現場の様子を届けたいと思う。

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