2005年度冬学期講義 「物質の科学 −その起源から応用まで−」
現代の科学・技術は、素粒子から生命体に至るまで、あるいは個人から社会全体に至るまで、さまざまな階層における基礎的な現象、応用に関わる事柄を対象にしている。そして、対象とすべき現象・事柄は、科学・技術の発展にともなって増加の一途をたどっている。
この講義では、われわれの身の回りの全ての現象・事柄の根源にある「物質」をキーワードとして、物質の起源を探る学問分野、物質の性質を明らかにする学問 分野、物質を工学的に利用する学問分野を繋いで、「物質の科学」を貫く学術の流れを解説する。この講義によって、学生が現代の「物質の科学」の全体像を掴 み、さらには、前期課程で学んでいる授業科目の重要性や位置付けを再考し、将来の勉学に向けて展望を得ることができればよいと考えている。
1). |
「物質はどのように創られたのか」
小柴 昌俊(東京大学特別栄誉教授・ノーベル物理学賞受賞) |
【概要】 大きなスケールを追い続ける宇宙物理学と、逆に小さなスケールを追い求める素粒子物理学は、結局、同じ目的である“万物の究極理論”に迫 りつつある。すでに自然界のすべての元素が何処でどのように創られたかも解っている。第1回の講義では全般的なこと、特に「ニュートリノ」と呼ばれる素粒 子がどんな役割をはたしているのかについて解説する。
2). |
「物質の生い立ち −素粒子、原子、宇宙−」
佐藤 勝彦(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 教授) |
【概要】 物質の生い立ちという観点から、素粒子から宇宙全体に至る物質の階層構造と運動法則、またその物質が運動する舞台としての時空、さらに物質と時空の起源、進化について解説する。
3). |
「物質の性質」
家 泰弘(東京大学物性研究所 教授) |
【概要】 物質の性質という観点から、さまざまな物質がさまざまな物理状態のもとで示す諸性質と、その基礎にある物理メカニズムとの関連を解説する。
4). |
「物質を作り使う」
小宮山 宏(東京大学総長) |
【概要】 物質の持つ性質は、それ自身簡単に使えるものではない。特に実際の用途に供するためには実験室内と異なる物質生成のプロセスが必要である。自己組織化などを用いるプロセスを紹介し、物性・プロセス・応用を考える。